迷った時、決断したい時は、タロットカードやオラクルカード、そして、易。卜術(ボクじゅつ)の出番です。
この記事では、卜術の一種である「易」、その中でも誰でもできる「コインを使った易の立て方」をお伝えします。
占いには、命・卜・相と三種類ありますが、それぞれ得意分野が異なります。
宿命を知るには、四柱推命やホロスコープ、九星気学など、生年月日から観る「命術(命占)」、
決断したい時、刻々と変わる状況を観たい場合は、タロット、ルーンなど道具を使って占う「卜術(卜占)」、形(相)から、運勢全般、吉凶を観るのが、姓名判断、手相、人相などの「相術(相占)」があります。
なお、コインを使った易の立て方も色々なやり方があります。
易とは
「易」と聞くと「易者」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
易とは、昔、中国では、国を治めるにあたり、重要なことを決める際には「占い」を指針としてきました。
占いをするお役人が「三易(さんえき)」で占っていました。
三易とは、「連山(れんざん)」「帰蔵(きぞう)」「周易(しゅうえき)」のことですが、「連山(れんざん)」「帰蔵(きぞう)」は、早々に無くなってしまったために、今では、「易」と言えば「周易」のことを意味するようになった、と言われております。
周易(しゅうえき)とは
儒教の5つの経典の中の一つ「易経」は、一言でいうと「占いの教科書」でありながらも、人としての在り方、帝王学としても孔子や孟子、近代においては日本の政治家や経済界の方々も、学んできた書物です。
易経は、本文「経(けい)」と解説の「伝(でん)」から成ります。
「経(けい)」とは
「経」は、「六十四の卦(か)」と卦それぞれの説明「卦辞(かじ)」と卦を構成している6本の横線「爻(コウ~陽:、陰:)」の解説「爻辞」から成ります。
「伝(でん)」とは
「伝」は「十翼(じゅうよく)」とも呼ばれ、以下、①~⑩個あります。
①②「彖伝(たんでん)上・下」~卦辞の解説。
③④「象伝(しょうでん)」~「大象(たいしょう)」と「小象(しょうしょう)」から成り、「大象」は卦の全体の解説、「小象」は、その爻辞の解説。
⑤「文言伝(ぶんげんでん)」~六十四卦のうち最も重要な二卦、乾(けん)・坤(こん)についての解説。
⑥⑦「繋辞伝(けいじでん)上伝・下伝」~孔子が易経全体を哲学的に解説した、といわれているもの。
⑧「説卦伝(せっかでん)」~八卦の詳説。
⑨「序卦伝(じょかでん)」~六十四卦の序列の解説。
⑩「雑卦伝(ざっかでん)」~六十四卦を読み解く際の解説。
八卦の成り立ち
太極、両儀、四象、八卦
太極は、お隣韓国の国旗にも描かれていますね(色は、赤と青ですが)
「勾玉が組み合わさった形だ」という方もおられます。勾玉は、最も生命力の強い「胎児」の形である、と聞いたことがあります。ちなみに、中国では「魚」に見立てて太極を「陰陽魚」と呼ぶそうです。
このモチーフを見ると、確かに、命の根源を連想せざるを得ません。
太極から両儀
「太極(図1)」は、宗教的には「神」、白は「陽」、黒は「陰」を表しています。
この太極が、陰と陽に分かれ「両儀」が生み出され、この世に存在するすべてのものが、陰と陽から成り立っているとされます。
人間を見ると、女性(陰)と男性(陽)動物はメス(陰)とオス(陽)
原子や分子もマイナス(陰)とプラス(陽)から成り立ちます。
物質のみならず、現象を見ても、日が当たるところもあれば、陰もありますし、コインも裏があれば表もあります。
白の中に黒●、黒の中○がありますが、陽の中にも陰があり、陰の中にも陽があり、100%陰(陽)は、ない、と言われています。
両儀から四象
両儀に、それぞれ陰と陽が組み合わさり、老陰(陰・陰⚏)、小陽(陰・陽⚎)、小陰(陽・陰⚍)、老陽(陽・陽⚌)4つの象になります(四象)春・夏・秋・冬と解説されています。
四象から八卦へ
四象に、それぞれ、さらに陰、陽が組み合わさって(下から上へ数えます)「八卦(はっけ/はっか)」となります。
☰(乾)陽・陽・陽~「天」「父」、社長、完全、威厳、活動、拡張、北西
☱(兌)陽・陽・陰~「沢」「三女(少女)」、悦び、少女、口、おしゃべり、飲食、不足、西
☲(離)陽・陰・陽~「火」「二女(中女)」、中年の女、離別、名誉、美、明知、南
☳(震)陽・陰・陰~「雷」「長男」、声あって形無し、驚く、新しい、虚言、東
☴(巽)陰・陽・陽~「風」「長女」、調う、長い、長引く、信用、南東
☵(坎)陰・陽・陰~「水」「二男(中男)」、中年の男、水、困窮、忍耐、思索、裏のこと、北
☶(艮)陰・陰・陽~「山」「三男(小男)」、止める、強欲、静止、蓄える、相続、関節、北東
☷(坤)陰・陰・陰~「地」「母」、庶民、地味、消火器、南西
九星気学を学んでおられる方は、おなじみですね。これが、各宮の象意となります。八卦を「小成卦(しょうせいか)」といい、八卦を上下に組み合わせたものを「大成卦(たいせいか)」といい、六十四卦になります。
タロットカードの小アルカナと大アルカナみたいですね。
六十四卦
六十四卦は、私たちの人生に置かれている状況、身の振り方、出処進退など64パターンあると考えます。そもそも、「易」とは「変化」という意味です。
私たちの地位や立場、また、置かれている状況などは、絶えず変化しています。「こんな時は、どうしたら良い?」という「身の振り方」を易では教えてくれるのです。それが、わかれば、「占いはいらない」という趣旨のことも占いのテキストである「易経」には書かれています(注釈、下記参照)面白いですね。
上下に八卦と八卦を組み合わせて、六十四卦となります。
三八四爻
各卦は、6本横棒があります(六つの爻・コウ)ので、64×6=384パターンとなり、今置かれている状況、どうしたら良いかを384パターンの解説からヒントを得るのが周易となります。
易の立て方ですが、竹串のようなもの(筮竹・ゼイチク)を使う方法を、筮法(ゼイホウ)と言いますが、サイコロやコインで易を立てることも可能です。
サイコロは、画像のように色の違う「八面体」サイコロ計2個と普通の「六面体」サイコロが1個必要です。
すぐ、お手元に「八面体サイコロ」をご用意するのは、難しいかもしれませんので、コインを使った易の立て方をご紹介いたします。
易を立ててみよう
占って欲しい人の性別や年齢、立場などの情報が必要です。そして、何を判断していただきたいのか(占的・センテキ)をはっきりさせるために、状況を具体的にします。
【やり方】
- コインを6枚用意します。10円玉5枚、100円玉1枚が、わかりやすいです。
- 6枚を手中でよく振り、混ぜます。
- 全集中で「判断していただきこと」を問います。
- コインを「下から上へ」並べます。
- 上の3枚のコインが「上卦(外卦・がいか)」、下の3枚のコインが「下卦(内卦・ないか)」となります。
- 100円玉(変爻)がある場所を下から数えます。3番目にあるなら「三爻」となります。
- 六十四卦のうち該当する卦の意味(卦辞)と、変爻にあたる100円玉の意味(爻辞)を読みます。
コインの表が陽、裏を陰とします。
下から上へ、①陽・②陽・③陽ですから「☰(乾)」、続いて、④陽・⑤陰・⑥陽で「☲(離)」となり、「離・乾」の組み合わせで卦は、「14.火天大有(かてんだいゆう)」なります。
☲
☰
そして、百円玉は、下から三番目にありますので「14.火天大有」とその「三爻」の解説が、易の神様からの答えとなります。
この六十四卦の解説は、ネットにも散見されますが、解釈の解説が難しかったり、現代で言うとどういう意味なのか、理解が難しかったりしますが、いくつかの書籍を辞典替わりに活用されるのが良いと思います。
私のおススメ書籍は、水沢有先生の「すべてがわかる384爻易占い」です。
こちらで「14.火天大有」の「三爻」の解説を読むと・・・
今が最大のチャンス。でも、良い時は短いもの。そして、「三爻」の解説は、「相手のために、すべてに全力投球し尽くしているが、相手はどう思ってるかは、疑問。力の配分を考えてみては?」となります。
わかりやすい!!
易に関心を持たれたら、まず、こちらの水沢先生の本がおススメです。
もう一冊、違った角度から、マーフィー博士の「マーフィーの易占い」も参考になります。
あの有名な「マーフィーの成功法則」のマーフィー博士です。マーフィー博士は、牧師でもありますが、潜在能力の活用をわかりやすく説いておられます。
では、こちらの「14.火天大有」解説ではどうでしょうか。
「望みが大いに叶う、大吉。だから、他人への影響も考えよう。そして、欲望をコントロールし謙虚であろう。」
「三爻」の解説は、「何も持たないようで、実は、すべてのものを持っていると実感しなさい」とあります。
マーフィー博士は、易にも傾倒しておられましたが、易を立てて占った結果を「潜在意識の答え」として捉えています。そのため、純粋な解釈とは異なるかもしれませんが、易で得た答えの中には、自分の期待していた結果ではない答えが出る場合もあります。
そんな時、前向きにとらえ、解釈して実生活に活かすことが大切です。
このことから、私の主観ではありますが、マーフィー博士の解釈も参考になると思います。
易を立てる際に、気を付けること
出た結果(卦爻)が、自分の望んだ内容でなかったからと言って、何度も占い直す(再筮・サイゼイ)のはNG行為とされます。
まとめ
卜術は、「〇〇を●●さんとやろうと思いますが良いですか?」「今年、△△を始めようと思いますが、うまくいきますか」など、判断に迷う時に使う占術です。
姓名判断や九星気学では、そのようなピンポイントの判断はできません。
何を知りたいか、その答えを得るにふさわしい占術を選ぶことが大切です。
西洋では、タロットカードやオラクルカード、東洋では、易を立てるのが卜術にあたります。
筮竹(ぜいちく)がなくても、ご自宅にあるコインでできる簡単な易の立て方を共有させていただきました。
ちなみに、私が皆さんを卜術で鑑定させていただく時は、この周易ではなく、「断易(五行易)」や「四盤掛け法(九星日盤鑑定、九星卜占法)」というやり方で占っております。
迷った時は、ぜひ、皆さんも、易を試してみてくださいね。そして、易の神様の回答を信じて、できることをやっていくならば、運は開けていくでしょう。
四柱推命が難しかった方へ